体重の“増えた・減った”に振り回されないために
朝はすっきりしていたのに、夕方になると脚が重い。ダイエットをしているのに、体重が思うように減らない。そんなとき、「昨日の夜食べすぎた?」と思う人も多いですが、実はその増減、脂肪ではなく“水分”によるものかもしれません。体の中では、食事内容やホルモンの変化に合わせて、日々かなりの量の水分が行ったり来たりしています。今日は、その“むくみ”と“ダイエット”の関係を少し科学的に見ていきましょう。
糖質を減らすと体重が落ちるのは、水分が抜けるから
ダイエットを始めたばかりの頃、数日で体重がスッと落ちた経験がある方は多いと思います。「やった!脂肪が減った!」と思いたいところですが、実はその多くは“水の重さ”です。
筋肉や肝臓には「グリコーゲン」という糖質の貯蔵庫があり、そこには糖だけでなく水も一緒に抱え込まれています。研究では、
“Our findings agree with the long held notion that each gram of glycogen is stored in human muscle with at least 3 g of water.”
(Fernández-Elías VE, et al., 2015)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25820564/
とあり、1gのグリコーゲンが少なくとも3gの水を持つことがわかっています。つまり、糖質を減らすとグリコーゲンが減り、それにくっついていた水も出ていく。だからこそ、短期間で体重が減るのです。決して悪いことではありませんが、「水分が抜けただけなのか、脂肪が減ったのか」を見極める意識を持つことが、焦らないダイエットには大切です。
塩分を摂りすぎると、体は“水をため込むモード”に
もう一つ、むくみに大きく関係するのが塩分です。体の中ではナトリウム濃度を一定に保つために、塩分が増えると自動的に水分をキープしようとします。ある論文では、
“An abruptly increase of salt consumption leads to sodium accumulation in the extracellular volume, which will be followed by water retention to maintain osmolarity.”
(Oppelaar JJ, et al., 2019)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31204848/
と示されており、塩を多く摂ると体の外側(細胞外液)にナトリウムがたまり、水を引き寄せることでむくみを引き起こすことが分かっています。外食やコンビニの惣菜、スープやパンなど、思っている以上に塩分は潜んでいます。「今日は味の濃いものが続いたな」と感じたら、次の日は野菜や果物などカリウムを多く含む食品でバランスを取るだけでも違います。
月経周期とむくみの関係
生理前に体重が増える、脚が重い、顔がむくむ――これは決して気のせいではありません。ホルモンの影響で一時的に体に水分がたまりやすくなるのです。実際に研究でも、
“An increase of approximately 0.5 kg was observed during women’s menstrual cycle, mostly due to extracellular fluid retention at menstruation days.”
(Kanellakis S, et al., 2023)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37813741/
と報告されており、月経期には平均で0.5kgほど体重が増える傾向があるとされています。この変化は脂肪ではなく水分。だから「体重が増えた=太った」とは限りません。生理前後は、体の仕組みとしてそうなるものだと理解し、体重計の数字に一喜一憂しないことが大切です。
極端な食事制限は、むくみを悪化させることも
「食べなければ痩せる」と考えて、極端に食事量やタンパク質を減らしてしまう人もいます。でも、体に必要な栄養が足りないと、むくみがひどくなることがあります。医学的にも、
“Nephrotic syndrome is characterized by hypoalbuminemia, increased edema, and presence of ascites due to the low oncotic pressure.”
(StatPearls, Hypoalbuminemia, 2023)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK526080/
とあり、血中のアルブミンというタンパク質が少なくなると、血管内の水分を保てずにむくみが起こることが知られています。過度な食事制限は、体重は減っても代謝や水分バランスを崩してしまうことがあるのです。「しっかり食べて、しっかり出す」――それがむくみを防ぐ一番の近道です。
日常でできる、むくみにくい習慣
- 外食やコンビニ食が続いた翌日は、薄味・野菜多めに
- 水分は一気飲みせず、こまめに少しずつ
- 座りっぱなしの時間を1時間ごとに区切り、軽く足首を回す
- ふくらはぎの筋肉(第二の心臓)を動かすウォーキングを習慣に
- 生理前は体重の数字より、睡眠や食事の質に注目する
水分は敵ではなく、体に必要な“循環の証”。むくみをゼロにするのではなく、「溜めずに流せる体」を目指すことが大切です。
むくみをうまくコントロールできると、見た目のラインも軽やかになりますし、体重の上下に一喜一憂しなくなります。今日からできる小さな調整で、「むくみやすい体」から「流れのいい体」へ。焦らず、体のサインを味方にするダイエットを始めてみましょう。
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