はり、と聞くと身体に刺すもの。何だか怖い。そんなイメージを持つのではないでしょうか。
実際、はり(鍼)は身体に刺すことにより施術を行います。
ただし、使用する針は極めて細く、痛点を刺激しにくいためイメージされるような痛みは生じません。
しかも、戦後は世界的に研究が進み、西洋の国でも鍼の有効性を認めるようになっています。
今回の記事では、これから鍼を受けようか迷っている方が安心できるように、鍼の歴史と世界的な研究の内容について説明します。
1. 鍼灸の起源と発展
鍼灸(しんきゅう)は、中国を発祥とする伝統医療の一つであり、数千年にわたる歴史を持つ治療法です。鍼(はり)と灸(きゅう)を用いて体の経絡(けいらく)やツボに刺激を与え、自然治癒力を高めることを目的としています。
(1)中国における鍼灸の歴史
鍼灸の歴史は古く、最初の記録は紀元前2000年以上前に遡ります。最も古い文献の一つに『黄帝内経(こうていだいけい)』があり、これは紀元前2世紀ごろに編纂されたとされています。これには経絡理論やツボ(経穴)の概念が記されており、現代の鍼灸の基礎となっています。
その後、鍼灸は中国国内で発展し、唐の時代(7~10世紀)には鍼灸が宮廷医療として確立されました。明の時代(14~17世紀)には、鍼灸の知識が整理され『鍼灸大成』という書物が編纂され、世界的にも影響を与えることになります。
(2)日本における鍼灸の歴史
日本には奈良時代(6~8世紀)に中国から仏教とともに鍼灸が伝わりました。平安時代には貴族や僧侶の間で鍼灸が広まり、鎌倉・室町時代になると庶民にも広がっていきました。
江戸時代(17~19世紀)には、日本独自の鍼灸が発展しました。その代表例が杉山和一(すぎやまわいち)による「管鍼法(かんしんほう)」です。これは、細い鍼を管(筒)を使って安全に刺す方法で、痛みが少なく、日本独自の繊細な鍼治療へと発展しました。
しかし、明治時代に入ると、西洋医学の発展により鍼灸の地位は低下しました。しかし、第二次世界大戦後には再評価され、1960年代以降、研究が進み、現代医学との融合が試みられるようになりました。
(3)西洋における鍼灸の広がり
鍼灸は中国や日本だけでなく、西洋でも注目されるようになりました。特に、1970年代にアメリカのニクソン大統領が訪中した際、米国の記者が鍼麻酔の治療を受け、その効果を報じたことがきっかけで、西洋に広まりました。
現在では、アメリカやヨーロッパでも鍼灸が医療の一環として認められ、WHO(世界保健機関)も特定の疾患に対する鍼灸の有効性を認めています。
2. 鍼灸の科学的研究と評価
鍼灸の効果については、科学的な研究も多数行われており、一定の有効性が認められています。以下では、世界で行われた研究とその評価を紹介します。
(1)WHOによる鍼灸の評価
世界保健機関(WHO)は、鍼灸が有効であると認めた疾患をリスト化しており、その中には以下のものが含まれます。
- 神経疾患(頭痛、片頭痛、坐骨神経痛など)
- 筋骨格系疾患(腰痛、関節炎、肩こりなど)
- 消化器系疾患(胃炎、過敏性腸症候群など)
- 婦人科疾患(生理痛、不妊症、更年期障害)
- 精神疾患(不眠症、ストレス緩和、うつ症状の軽減)
(2)アメリカやヨーロッパでの研究結果
欧米でも鍼灸の研究が盛んに行われ、特に慢性的な痛みやストレスの緩和に対する効果が評価されています。
- 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)では、鍼治療が慢性腰痛、関節炎、片頭痛の症状を軽減する可能性が高いと報告。
- ドイツの研究では、鍼治療が慢性痛患者の生活の質を向上させることが示され、健康保険の適用が拡大。
- イギリスのNICE(国立医療技術評価機構)では、慢性疼痛(腰痛や片頭痛)に対して鍼灸を推奨するガイドラインを発表。
(3)日本国内での研究
日本でも、東京大学や筑波大学などの研究機関が鍼灸の生理学的メカニズムを解明する研究を進めています。
- 鍼治療を受けると、脳内でエンドルフィン(鎮痛作用のある物質)が分泌されることが確認されている。
- 自律神経を整える作用があり、ストレスや不眠症の改善に寄与することが示唆されている。
3. まとめ(鍼灸は安心できる治療法?)
鍼灸は、数千年の歴史を持つ伝統医療であり、現代では科学的研究によって一定の有効性が認められています。
- WHOをはじめとする国際機関も有効性を認めている
- 慢性痛やストレス緩和に対する研究が進んでいる
- 西洋医学との併用で効果を発揮するケースも多い
もちろん、すべての疾患に万能ではありませんが、安全性が高く、副作用が少ない治療法として、世界中で評価されています。
鍼灸を試す際は、信頼できる資格を持った鍼灸師のもとで施術を受けることが重要です。
美容温熱整体鍼ミオラスでは、国家資格である鍼灸師の資格を持った院長が直接施術を行います。これまでに5,000件以上の施術実績がありますので、安心して受けていただけます。
もちろん、痛みの感じ方には個人差がありますので、痛みが強いと感じたら我慢せず言ってくださいね。
参考文献
・内科疾患に対する鍼灸経絡治療の有用性 2013 郷家 明子 https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/9/4/9_221/_pdf
・Chronic Pain and Complementary Health Approaches
・Headaches in over 12s: diagnosis and management
・鍼通電療法の 基礎的研究、最近の進捗 2017 砂川 正隆ら https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsop/42/2/42_1/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com